SNS運用は、企業にとってマーケティングの重要な手段の一つです。しかし、運用方法を誤ると、期待した効果を得られないどころか、逆効果になることもあります。
特に、「フォロワー数の増加」だけに注力してしまった場合、思わぬ落とし穴が待ち受けているのはご存じでしょうか。
この記事では、フォロワー至上主義に陥ったアカウントの事例をもとに、SNS運用の本来の目的と成功への道筋を解説します。
フォロワー数だけを追い求めたアカウントの結末

「フォロワーが増えれば売上が上がる」と考え、フォロワー数の増加だけに注力するSNS運用は、一見正しいように思えます。しかし、短絡的な戦略にはさまざまな落とし穴が潜んでいるのです。
フォロワーを購入したケース
短期間でフォロワー数を増やそうと「フォロワーの購入」を検討したことはないでしょうか。実際、フォロワーは販売されていますし、購入すれば簡単にフォロワー数を増やすことができます。価格は、500人のフォロワーで20000円程度。それほど高額ではありませんね。
たとえば、1万人のフォロワーを数万円で購入したとしましょう。1万人以上のフォロワーがいれば、確かに人気アカウントに見えます。
しかし、購入したフォロワーは実在しない「ボット」や無関係なアカウント。言ってしまえば「まやかし」です。
フォロワーを購入したアカウントには、以下のようなリスクがあります。
- エンゲージメント率の低下
SNSにおけるエンゲージメント率とは、フォロワーが投稿に対してどの程度アクションを起こしているかを示す指標のことです。エンゲージメント率が高いほど、顧客との信頼関係が強固になり、ブランドの価値が高まります。
購入したフォロワーはアクティブに反応しないため、投稿への「いいね」や「コメント」激減。結果として、フォロワー数に見合わない低い反応率が目立ち、他のユーザーや取引先から「このアカウントは不自然だ」と疑われるリスクも高まります。
- アルゴリズムでの不利
SNSのアルゴリズムでは、エンゲージメント率を重視して投稿の露出が決まります。購入フォロワーの低い反応率によりリーチが制限され、実際の顧客に投稿が届きにくくなる恐れも。
- ブランドの信頼性低下
購入フォロワーが露見した場合、顧客や取引先から「誠実さに欠ける企業」という評価を受けるリスクがあります。一度失われた信頼は取り戻すのが難しく、長期的なブランド価値に深刻な影響を与えることも。
購入フォロワーを利用する最大のリスクは、「ブランドの信頼性を損ない、長期的な顧客との関係を失うこと」SNSは顧客との信頼を構築し、ブランド価値を高めるための重要なツールです。不誠実な手法を用いると企業としての信用に傷がつき、回復には多大な時間とコストがかかります。
一時的なフォロワー数増加を優先するのではなく、顧客との関係構築や真摯な姿勢を重視した運用が最も重要です。
無関係なフォロワーを増やしたケース
プレゼントキャンペーンを活用し、フォロワー数を一気に増やす方法はよく見られます。
具体的な例でいうと、「フォロー&リツイートで〇〇が当たる!」といった企画が分かりやすいでしょう。
プライベートでSNSを利用している方であれば、一度は目にしたことがあるはずです。この方法でフォロワーを集めるのは、決して悪いことではありません。
問題なのは、いわゆる「釣り」を目的としてむやみに企画を出したり、企業のサービスや理念にはそぐわない内容のキャンペーンを打ち出したりしてしまうこと。こういった企画で増えたフォロワーが興味を持っているのは、企画内容やプレゼントです。発信内容や企業に関心を持っているとは限らず、ターゲットとは異なる「無関係なフォロワー」を増やしてしまう原因になり得ます。
無関係なフォロワーを増やすケースでは、以下のようなリスクがあります。
- 興味が薄いユーザーの流入
キャンペーン目的でフォローしたユーザーはプレゼントに興味を持っただけで、ブランドそのものには関心が薄いことが少なくありません。そのため、キャンペーン終了後にフォローを外されるケースも。
- ターゲット層との乖離
一般的な商品や高級なアイテムをプレゼントすると、本来のターゲット層ではないユーザーが集まりやすくなります。フォロワー層が企業の狙いから外れ、アカウントの方向性がぶれる恐れも。
- エンゲージメント率の低下
一時的にフォロワーが増えたとしても、ブランドや商品に興味がないフォロワーは投稿への反応が薄くなりがちです。エンゲージメント率が低下することで、SNSのアルゴリズムからの評価が下がり、投稿のリーチが制限されるリスクがあります。
こういった方法でフォロワーを増やすとブランドの方向性がブレて、ターゲット層に適切なメッセージが届かなくなることがあります。SNS運用はフォロワー数を増やすだけでなく、適切なターゲット層との関係を深めることが重要です。無関係なフォロワーを集める手法は一時的な数値の向上にはつながりますが、長期的にはブランド価値の低下や運用目的の達成困難につながる危険があるのです。
キャンペーンを行う際はターゲット層を意識した企画設計を心がけ、フォロワーとの質の高い関係や交流を優先すべきです。
中身のないコンテンツを量産したケース
フォロワー数増加を目的に、質を犠牲にしたコンテンツを量産するケースも問題です。
SNS運用における「質の高さ」とは、単に情報量やビジュアルの良さに留まらず、フォロワーとの信頼関係を築き、ブランド価値を高めるための総合的な要素がすべて含まれているということです。
「数を打てば当たる」というのは短期的には効果があるように思えるかもしれませんが、質を犠牲にしたコンテンツの量産は、最終的にはブランドにとって逆効果となります。
中身のないコンテンツを量産すると、以下のようなことが起こりかねません。
- 魅力のない投稿の連続
競合の投稿をただ模倣する、トレンドに乗るだけの投稿は、ターゲット層に響きません。独自性がない投稿は埋もれやすく、フォロワーにとって価値のないアカウントに。
- ブランド価値の低下
一貫性のないコンテンツや無意味なハッシュタグを多用すると、アカウント全体がスパム的と認識されます。フォロワーやプラットフォームにスパムと見なされ、フォロワーが離れていくことも。
- ブランドイメージの悪化
「バズ狙い」の投稿が失敗すれば、むしろブランドイメージを損なう結果になりかねません。軽率な投稿として批判を受けるリスクもあります。
最大のリスクは、何と言っても「長期的なブランド信頼の喪失」でしょう。
SNSは、フォロワーとの信頼関係を築き、ブランド価値を高めるためのツールです。中身のないコンテンツを量産すると、ターゲット層に「このアカウントは価値がない」と思われ、離脱されてしまうことがあるのです。一度失った信頼を取り戻すのは難しく、最悪の場合ブランドの成長を大きく阻害することもあり得ます。
【マチオコシ株式会社からのアドバイス】
フォロワー数の獲得ばかりを目的にしてSNS運用を行うと、ターゲット属性や地域を広げざるを得なくなります。これでは、フォロワーが増えたとしても顧客や採用人材として期待できるユーザーの確保は困難です。短期的にフォロワーの母数は増えるものの、大衆向けの発信内容になり本質が受けないアカウントになってしまうのです。また、中身は活発に動いてくれないユーザーが増えると、おすすめに乗りづらいアカウントになりビジネスに活かしづらくなります。Instagramのアルゴリズムの観点から見ても避けるべきです。
SNSは初期の方向性を決める設計が最も重要です。
誤った運用では無意味な時間・労力が増えるだけでなく、ターゲット層と深いつながりを持つこともできません。このような問題を未然に防ぐため、SNS運用のプロに相談し、適切な戦略を立てることをおすすめします。
なぜフォロワー至上主義になってしまうのか

企業が「フォロワー数」を最優先に考えがちになるのはなぜなのでしょうか。
フォロワー数は見た目で成果がわかりやすいから
フォロワー数は、SNSアカウントの「人気」や「影響力」を一目で測れるように見える指標です。そのため、多くの企業がフォロワー数ばかりに注目してしまうのです。
具体的には、以下のような要素が大きく影響しています。
・社内での成果報告に便利
フォロワー数は「数値」で示せるため、上司や他部門に簡単に成果をアピールできる。・競合他社との比較が簡単
「あの会社よりフォロワーが多い=うちの方が影響力がある」と思いやすく、表面的な安心感を得やすい。
【ポイント】
フォロワー数が多い=ビジネスの成果ではない!
短期的な成功体験が忘れられない
過去にフォロワー数の増加が売上や集客につながった経験があると、その方法に頼りがちになります。
具体的には以下のようなことが考えられます。
・キャンペーンの成功例の繰り返し
プレゼント企画や大規模広告でフォロワーが急増し、一時的に売上が伸びた場合、同じ戦略を繰り返そうとしてしまう。・フォロワー=成功の象徴と勘違いしてしまう
短期間でフォロワーが増えると「この方法が正解だ」と思い込んでしまいがち。
【ポイント】
成功体験が本当に「長続きする成果」につながっているかは慎重に見極めるべき!
成果を求められるプレッシャー
SNS運用にかけるコストが増える中、「早く結果を出してほしい」というプレッシャーが運用担当者にかかります。
・フォロワー数は成果としてわかりやすい
「フォロワーが○%増えました」という報告は目に見える成果として評価されやすい。・短期間での結果を求められる
すぐに目に見える変化が必要な場合、フォロワー数を優先する戦略に偏りやすい。
【ポイント】
長期的なブランド価値や顧客との関係構築が重要!
SNSの本質が理解されていない
SNSの目的や仕組みを正しく理解せず、「フォロワー数を増やせば売上も上がる」と思い込むケースが多いです。
・SNSをただの広告ツールと捉える
広告と同じ感覚で「フォロワー数が多ければ多いほど成功」という考えになりがち。
・顧客との信頼関係を軽視する
SNSの本質は「ユーザーとのつながり」や「共感の構築」ですが、これを無視してフォロワー数だけを追いかけてしまう。
【ポイント】
「どれだけユーザーが興味を持ち、関わってくれるか」がカギ!
【マチオコシ株式会社からのアドバイス】
SNSだけの認知力で考えるのではなく、オフラインでも話題に上がるかという観点で判断する必要があります。特に地方であれば、「最近この会社目立っているよね」といった印象がビジネスにつながる場合があります。
困った事があったらこの会社に相談しよう!困っている人がいたら紹介してあげよう!と思われるアカウント作りが重要です。
フォロワーとの信頼関係構築ができてこそ、評価できるアカウントと言えます。フォロワーの数ではなく、自社の商圏の見極めとターゲットとなるフォロワーがどれだけ閲覧しているのかで判断することを意識しましょう。
SNS運用における本当の意味のフォロワーとは

フォロワーの数は一つの指標に過ぎません。SNS運用の成功には、単にフォロワーを増やすだけではなく、質の高いフォロワーを獲得し、関係を深めることが求められます。本当の意味で価値のあるフォロワーとはどのような存在なのか、詳しく見ていきましょう。
商品やサービスに興味を持つターゲット層
フォロワーの質を高める第一歩は、明確なターゲット設定です。
商品やサービスに興味を持つ層を惹きつけることで、フォロワーが実際の顧客になる可能性が高まります。ターゲットに合致したフォロワーは、投稿内容に積極的に反応し、ブランドとの信頼関係を築きやすくなります。
投稿に反応を示してくれるユーザー
本当のフォロワーとは、ただ数を増やすだけではなく、投稿に「いいね」や「コメント」「シェア」で反応してくれる人たちです。
これらのアクションはSNSアルゴリズムにも好影響を与え、投稿のリーチを「自然に広げる力」を持っています。
他のユーザーにブランドを推薦してくれるファン
SNS運用の理想形は、フォロワーが「ファン」となり、他のユーザーにあなたのブランドを推薦してくれる状態です。
満足度の高いフォロワーは、自主的にポジティブなクチコミを拡散し、新しい顧客を引き寄せる役割を果たしてくれることもあります。
長期的な関係を築ける顧客予備軍
SNSは短期的な売上だけでなく、長期的な顧客関係を築く場でもあります。
ブランドや企業の理念、価値観に共感してフォローしてくれるユーザーは、顧客に成長する可能性が高いのです。
フォロワー数だけを追わない、本質的なSNS運用を

フォロワー数を増やすだけでは、企業の目指す成果にはつながりません。SNS運用の目的を明確にし、戦略的に運用を進めることで、長期的な成功が見込めます。SNS運用に課題を感じている方は、ぜひプロの力を借りてみてください。御社のブランドを真に成長させるSNS運用を、私たちと一緒に始めましょう。