ヒトツナギ
日本製スマート農業で未来を変える|有限会社シーケーテック

今回は、宮城県石巻市で制御盤の製作・設計を行いながら、農業の未来を変えるスマートシステムを開発している「有限会社シーケーテック」代表取締役の兼子修司さんにお話を伺いました。創業時の苦労話から、農業界への熱い想い、今後の展望まで、たっぷりと語っていただきました。ぜひ最後までご覧ください。

プロフィール
有限会社シーケーテック 代表取締役 兼子 修司
福島県会津若松市出身。大学進学を機に宮城県石巻市へ移住し、そのまま石巻市の企業で技術を磨き、25歳で起業。現在は制御盤の設計製作に加え、スマート農業向けのシステム開発に注力。人との縁を大切にしながら、農業の未来を変える挑戦を続けている。

石巻に育てられ、石巻で挑戦

ーーまずは簡単に自己紹介と事業内容について教えてください。

福島県会津若松の出身で、石巻専修大学進学をきっかけに石巻に来ました。
大学生時代、9割の学生が県外に就職することを知り石巻に貢献したいという思いから石巻の制御盤を製作する会社に就職して、技術を4年ほど学び、25歳のときに独立しました。最初は先輩と2人でスタートしました。

現在は、飲み水や農業用水のための浄水場から、食品会社の製造ライン、漁港での冷蔵設備、下水処理施設さらにバイオガス発電所など生活の各ポイントで、頭脳としての制御盤を設計・製作する会社として、少数精鋭で運営しています。

日本製スマート農業の旗振り役として

ーー現在、特に力を入れているサービスありますか?

今、特に注力しているのは「スマート農業」の分野です。農業は今、人手不足が深刻です。若者に参入してもらうには、“儲かる農業”を実現しなければならない。そのために、我々の制御技術を農業に活かしたいと考えています。
スマート農業には海外製品が多い中で海外製品に負けない日本製品を作って展開していきたい。

弊社が開発したのが「ハウス総括職人シリーズ」。ラインナップには「棟梁」「親方」「兄弟子」「弟子」などがあり、用途や価格に応じて選べます。棟梁クラスになると、パソコンから世界中どこからでもハウスの管理が可能です。親方クラスでもタブレットやスマホで簡単に操作できます。

“職人”たちは、時給45円で365日働き続ける

ーー実際の管理はどのようなものが可能なのですか?

温度や湿度、CO₂、そして何より重要な「水分管理」が可能です。たとえばトマト栽培では、水の量が甘さに直結します。弊社のシステムなら「1株あたり何リットル」まで自動で調整できます。だから、甘さのコントロールも可能になるんです。

面白いのは、「職人」シリーズは、初期投資こそ必要ですが、365日休まず働いてくれる。その働きぶりを時給換算すると、たったの45円。農業従事者が不在時でも、遠隔でハウス管理が可能になります。

アパートの一室から始まった会社

ーー創業時の苦労について教えてください。

最初はアパートの一室で始めたんです。もちろん夜間は音を立てちゃいけないから、ドリルは禁止。
夜間は手作業で穴を開けるなど、工夫しながらなんとか製作していました。
昼はアパートの駐車場で日曜大工を装って作業していましたね(笑)。

時には千葉(現・常務)の自宅の納屋を借りて製作を続け、やっと見つけた安価な倉庫跡地に自らの手で事務所を建てて工場兼事務所に。そこには、もともと野良猫が住みついていてその猫を“会長”と呼んでいました(笑)。

お客様の期待以上を当たり前に超える

ーー御社ならではの強みはどこにあるのでしょうか?

正直な話うちじゃなくても同じような仕事ができる会社はたくさんあるんです。
だからこそ、お客さんが「シーケーテックに頼みたい」と思ってくれるような提案や姿勢が必要なんです。
「これ作って」と言われたものをただ作るだけでは、選ばれない。だから僕らは、常にお客様の期待を少しでも超えるようにしています。「こういうふうにしたらもっと良くなるのでは」と、こちらからアイデアを出して提案する。それを積み重ねてきたからこそ、少しずつ仕事が増えていったんだと思います。

最初は本当に、それだけしか考えていなかったんです。とにかくいいものを作って、それに対してきちんと対価をいただく。そんな仕事の姿勢が、気づけば今につながっていたという感覚ですね。

震災で全てを失っても、再び立ち上がった

ーー最も印象に残っている出来事を教えてください

やはり東日本大震災です。当時の工場は津波で全壊。
納品直前の商品もすべて失いましたが、それでもすぐに作り直して納品しました。

震災後はお客様の工場を間借りして、間借りさせていただいた工場の機械の修理やメンテナンスをしてまわりました。メーカーがすでに撤退していた機械も、なんとか復旧させました。

当時はやるしかないという気持ちでヤドカリ生活をして現在の事務所設立に至ります。

“気分”で名付けるシステムと、心を込めた設計

ーーユニークな名前の製品が多いですね。

基本、ネーミングは「気分」です(笑)。職人シリーズも、「職人好きだから、職人とつけようか」と。だけど、その裏では真面目に設計しています。

現場でヒアリングした内容をそのまま反映し、画面構成も直感的に。70歳を超える農家さんでも「これはわかりやすい」と喜んでもらえました。見たい情報だけを表示するカスタマイズも即対応。とにかくお客様ファーストで使う人が使いやすいものを届けたいんです。

防犯システムまで自社開発する技術力

ーー農業以外にも幅広く取り組まれていますね。

最近では、農業用ハウスのケーブル泥棒の被害をきっかけに、自社で開発した防犯システム「つぼちゅん」も話題になっています。赤いフラッシュライト、メール通知、回転灯、カメラ連携…とにかく怖いデザインで威嚇します(笑)。名前は、担当の坪山さんから拝借しました。

制御の仕組みは既存技術を応用し、ソーラーパネルで稼働させる仕組みです。農地には電源がない場合が多いですからね。防犯システムでも、うちは他社には負けません。

若者が活躍できる、未来の農業へ

ーー今後の展望を教えてください。

個人農家が減っていくこれからの農業業界では、若者がチャンスを掴むべきだと思います。僕が20代だったら、間違いなく農業を始めてました。

大事なのは、職人の技術を“見える化”して次世代に引き継ぐこと。総括職人シリーズは、その手段のひとつです。若者の自由な発想と、ベテラン農家の経験をデータ化して融合すれば、日本の農業はきっと明るくなると信じています。

さらに、農業が“儲からない・厳しい”というイメージを変えるためにも、農家自身がマーケティングや情報発信に取り組むことも大切です。今の若者はSNSにも強く、自分たちで価値を伝える力を持っています。そんな彼らと技術者がタッグを組めば、新しい農業のカタチがきっと生まれるはずです。

ーー最後に読者へのメッセージをお願いします。

今の農業は確かに厳しい。でも、面白くなる余地も大きい。シーケーテックの親方たちは、時給45円で365日働く最強の仲間です。これから農業を始めたい、農業に面白みを感じたい、そんな方がいたら、ぜひ私たちに声をかけてください。一緒に、農業の未来を変えていきましょう!

INFORMATION
有限会社シーケーテック
https://www.big-advance.site/c/144/1578/profile

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