ヒトツナギ
唯一無二の喫茶店を日々アップデートし続ける|喫茶 結香珈

今回は仙台市若林区荒町商店街にある「喫茶 結香珈(ゆかこ)」の店主・木村隆平さんにお話を伺いました。15年以上の修行を経て、自らの理想と哲学を詰め込んだ喫茶店をオープンされた木村さん。創業の裏側から、モーニングへのこだわり、そして驚きの将来展望まで、たっぷり語っていただきました。ぜひ最後までご覧ください。

【プロフィール】
喫茶 結香珈 代表 木村 隆平

宮城県仙台市出身。15年以上にわたる飲食業界での経験を経て、若林区荒町に「喫茶 結香珈」をオープン。職人気質ながら柔らかな語り口と、圧倒的な技術力で地元に愛される存在。現在は“唯一無二”を目指し、カフェ業と並行して新たな挑戦にも取り組んでいる。

「喫茶店をやる」というブレない夢

ーーまずは自己紹介と、喫茶店を始めたきっかけを教えてください。

仙台市出身で、今は荒町商店街で「喫茶 結香珈」という店を営んでいます。大学時代に住んでいた名古屋で“モーニング文化”に出会ったことが、すべての始まりでした。朝、コーヒーを頼むとトーストや卵が無料でついてくる文化に衝撃を受けて、「こういう世界があるのか」と。働いていた喫茶店の店長が元レストランシェフで、料理やコーヒー、サービスなど幅広く学ばせてもらいました。あの出会いがなければ、今の僕はいなかったと思います。

ーー最初から「喫茶店を開く」という目標があったんですね。

はい、最初から“喫茶店を自分でやる”という目標は明確に持っていました。大学を中退して飲食の世界に飛び込んだのもそのためです。名古屋の有名イタリアンで4年間、サービスやバリスタとして働き、その後は東京へ。コーヒー専門店でバリスタ業務を経験したり、ケーキ屋でスイーツ作りに挑戦したり…とにかく“自分の武器を増やすため”に全国を渡り歩きました。

ただ、いろんな場所で素晴らしい仲間に出会っても、どこか「これじゃないな」という感覚が拭えなかった。やっぱり僕は“自分だけの店”がやりたかったんです。

ーー修行の中で、技術面や考え方にどんな影響がありましたか?

名店に入れば入るほど、同世代の人たちのレベルの高さに衝撃を受けました。ラテアートの大会で日本一になった人、海外で活躍する人…そういう人たちと比べたとき、「このままじゃダメだ」と感じました。自分にしかない武器を持たなければ、やりたいことは実現できないなと。

そこから、サービス、コーヒー、スイーツ、それぞれの世界で本格的に技術を磨く日々が始まりました。パティスリーでは、ムースやジャム、アイスなども一通り担当させてもらい、技術の引き出しは確実に増えたと思います。地道な作業の積み重ねですが、それがいま大きな財産になっています。

行き詰まった時に支えてくれる妻

ーー喫茶 結香珈を開く際、一番の支えになった存在は?

間違いなく妻ですね。飲食業って、どれだけ準備していても、現実はうまくいかないことの連続です。資金繰りや売上の不安、メニュー開発の行き詰まり…そういったときに「今日は休もう」「リフレッシュしてからまた考えよう」と言ってくれる妻の存在は、本当に大きいです。

プリンの上のカラメルをゼリーにしよう、スコーンを作ろう、といったアイディアも妻発なんですよ。僕一人だったら考えつかなかったような発想が、彼女のおかげで形になっています。

ーー喫茶店を始めた当初、大変だったことは何ですか?

技術があっても、それを“どう伝えるか”が分からなかった。要するに、売りが言語化できていなかったんです。お客様に「うちの強みはこれです」と説明できないと、戦略も立てられない。

そんな時、宮城県よろず支援拠点のとある方と出会いました。「あんたの店の最大の強みは、パティシエの経験があるってことやん」と言われて、ようやく自覚できたんです。それまで自己肯定感が低く、「自分の作るものは本当に価値があるのか?」と悩んでいた僕にとって、それは大きな転機になりました。

朝の顔は「手作りチーズパイのモーニング」

ーーモーニングが結香珈の代名詞になっていますね。

名古屋式のスタイルで、ドリンクを頼むと自家製のチーズパイが無料で付いてきます。冷凍じゃなく、生地から自分で折って焼いています。「これが無料で出てくるの?」と驚かれることも多いですね。

このメニューも、“パティシエが作る喫茶店”というコンセプトが定まったからこそ生まれたもの。誰でもできることはやらず、自分にしかできないメニューで勝負する。その結果、地元紙・河北新報にも取り上げてもらえて、大きな反響がありました。

ーー営業される上で大切にしている価値観は何ですか?

「カウンターの前では全員平等であること」です。常連さんだから特別扱いするのではなく、初めての方でも同じように接する。それが喫茶店の本来のあり方だと思っています。

試作を出すときも、店内にいる全員に提供します。そうでなければ、狭い空間の中で不公平感が生まれてしまいますからね。誰でも気軽に来られて、心地よく過ごせる場所でありたいと、常に意識しています。

次なる柱は「パフェ」—収益バランスの鍵に

ーー今後は、どのような展開を考えていますか?

モーニングで客数は伸びましたが、利益率は決して高くありません。そこで、今力を入れているのが「パフェ」です。季節ごとにフレーバーを変えて提供しつつ、定番パフェを“看板メニュー”として立てることで、客単価を上げる工夫をしています。

「パティシエの経験を活かす」という意味でも、パフェはぴったりのメニュー。モーニングでお客様を呼び、昼以降にパフェでゆっくり楽しんでもらう…そんな一日の流れができると、理想的ですね。

喫茶店×税理士?「唯一無二」を目指して

ーー将来の目標や夢があれば教えてください。

実は今、税理士の資格を目指して勉強中です。喫茶店業と並行して、50〜60代になってもできる「頭を使う仕事」も持ちたいと思ったんです。今は毎朝4時に起きて、開店準備の前に勉強しています。

もちろん、喫茶店は続けていきます。ありがたいことに、地域の方々にとって“インフラ”のような存在になりつつあると感じているので、この場所は大切にしていきたい。

目指すのは「喫茶店を営む税理士」という、全国でも類を見ない存在。いつか“激レアさん”に出るのが夢ですね(笑)。

ーー木村さんのこれからが楽しみですね。本日はありがとうございました!

こちらこそ、ありがとうございました。これからも頑張っていきます!

INFORMATION
喫茶 結香珈(ゆかこ)
kissayukako.my.canva.site

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